10月10日、東京・池袋で、厚生労働省などによる初の「がん検診50%推進全国大会」が開かれました。この大会は、舛添要一・前厚労相が今年7月に設置した「がん検診50%推進本部」の活動の一つです。がん対策基本法の施行に伴い、07年に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に基づく取り組みでもあります。
基本計画では、がんによる死亡率の20%減と、がん患者と家族の生活の質を保つことが「2大目標」となっています。がんによる死亡率の減少を達成するためには、喫煙率の減少、がん治療のレベルアップとともに、がん検診受診率の向上がカギを握っています。中でも、がん検診は最も重要な取り組みで、基本計画では、5年以内にがん検診の受診率を50%以上とすることを目標にしています。受診率が50%になれば、がん死亡率を4%近く下げることができると考えられています。
全国大会の冒頭、長妻昭・厚労相が、政府としてがんの早期発見に優先的に取り組むとの決意を表明しました。長妻厚労相にとって、就任後初のイベント参加でした。
長妻厚労相はあいさつの中で、日本人の3人に1人が、がんで亡くなる現状を紹介し、その理由として、日本のがん検診受診率の低さを指摘しました。米国や英国では、がん検診受診率が8割近い一方、日本は2~3割にとどまっている現実を指摘し、「がん検診50%の推進は、国家プロジェクト」と位置づけました。さらに、「50%を超える受診をしていただいて、多くの方が早期にがんを発見し、そして治癒していただく。日本国民の幸せに直結する大きな政策であり、国を挙げて取り組ませていただきたい」と高らかに宣言しました。
イベントでは、がん検診受診率50%達成のための武将・上杉謙信をモデルにしたイメージキャラクターなどを作った皆さんの表彰式が開かれたほか、私が、山田邦子さんらスター混成合唱団のメンバーと大学生の皆さんに、「がんの授業」をしました。
秋晴れの中、大勢の聴衆がつめかけ、「がんを知る」ための意義深いイベントになりました。これを機会に、がん検診への関心が高まることを期待したいと思います。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
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