適切な医療を求めて病院を転々としたり、行き場をなくしたりした「がん難民」の解消のため、日本癌治療学会(会長・杉山徹岩手医大教授)は22日、横浜市で始まった学会で、専門医養成や対策予算の増額などを国に求める提言を公表した。
提言では、抗がん剤による治療や放射線治療、痛みを和らげる緩和医療の専門医が著しく不足し、がんの外科医の希望者も非常に少ないと強調。「がん医療への深刻な影響が懸念される。人材養成は、国民が安全で質の高いがん医療を受けるための緊急課題」と指摘。
日本のがん対策予算総額は年間約525億円だが、米国はその約10倍で、米国では1990年代後半から、がんの死者が減少しているとして、日本の予算増額を求めた。
また、がん患者の情報を集約する「がん登録」は治療法の確立に欠かせないが、経費や担当者不足が原因で地域差が大きく、全国的なデータベースとして機能していないと指摘。国民の理解を得て、がん登録を法制化すべきだとしている。
提言は、全国どこでも同水準のがん治療を受けられることを目指すがん対策基本法の施行3年目を機に、改善案としてまとめた。
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