がん治療を考える
放射線療法は、臓器や体のさまざまな機能を温存できる治療法だ。だが、放射線が患部以外の正常な細胞にも当たると、出血や浮腫など副作用が問題になる。最近は、がんだけを狙い撃ちするピンポイント照射の治療法が開発されてきた。 放射線治療で通常使われるエックス線は、体表部に最も高いエネルギーが当たり、体の奥に入るほど減って突き抜けてしまう。陽子線は、がんを狙い撃ちする上に、突き抜けないため、がんの後ろの正常な細胞には当たらない。 精度を高めるため治療機器も改良されている。患者の呼吸の動きでずれる照射位置を計算して、これに合わせて陽子線が当てられる。患者ごとに専用の固定具などを作り、通院で一日一回の照射を四-四十回繰り返す。 治療効果は、前立腺や肝臓がんでの手術と同様だ。頭頸部(けいぶ)や頭蓋(ずがい)底、肝細胞、肺、食道など幅広いがんに行われる。ただ、胃や大腸など他の臓器に比べ薄い消化管に接する部分は難しい。体表部や広範囲に転移しているがんにも適さない。
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